昨日仕事帰りに立ち寄ったCDショップで、『日本語であそぼ』という幼児向けDVDを見つけました。 狂言師野村万作の跡継ぎというくらいの認識しかなかった野村萬斎が幼児教育番組をどのように作っているのか関心がありましたし、内容に 「汚れちまつた悲しみに…」という中也の詩が載っているのにも興味をひかれました。
帰宅してから1歳3ヶ月の子どもに見せますと、興味深げに見入っていました。
「ややこしや」…どういう経緯でこの「現代狂言」のようなモノを思いついたのかわかりませんが、経歴から推察するに「ややこしや」 の中には野村萬斎オリジナルの論理があるものと思われます。そういう理屈めいたことを感じさせない「ひとつの芸術表現のかたち」 として完成しているのはすばらしいと思います。能狂言独特の発声と動きが、子どもの心をとらえるのでしょうね。
ところで、僕が興味をひかれたところの中也の詩は「汚れっちまった」と聞こえる独特の発声でした。おそらく「間」 なのでしょうけれど、促音にも聞こえるような微妙な「間」です。詩の読み方は解釈に深く関わりますので、 僕としてはなぜ野村萬斎がこのような読み方をしようと思ったのか聞いてみたい気がします。それから、 なぜ野村萬斎のような恵まれた人が中也の詩を選んだのか聞いてみたいですね。どちらかというと、後者を聞いてみたいです。(笑)