「近くから遠くへ」というのは20世紀初頭のドイツVolksshule(民衆学校)の教育理論に見られる原理です。 Gesamtunterricht(総合教授)やHeimatkunde(郷土科)などの教科の中で、 子どもにいかなる順序で教材を提示すべきかという原則を示しています。 初めに身近なモノを取り上げて次第に身近でないモノも取り上げていくというのは、今では当たり前過ぎることも知れませんね。
我が子に「ままごとセット」を買い与えるに際して、家内は「食材・調理器具バージョン」に目を付けていたようですが、 僕は気乗りがしませんでした。どちらかと言えば同じ売り場にある「食器棚・テーブル・食器・食材バージョン」 なら1歳半程度の幼児にもふさわしいのではないかという気がしたのです。後者を家に持ち帰って広げてみますと、子どもはかなり熱心に 「食卓のまねごと」を始めました。ポットからカップに注ぐ真似、カップから飲む真似、食器棚に収納する真似……。
子どもにとって、調理することよりも、食べたり飲んだりすることの方が身近であるのは当然です。 身近である事象は再生可能性が高いので、初期のごっこ遊びに適しているというのが僕なりの解釈です。 言葉にしてみたら取るに足らないことですが、こんなこともを敢えて「原理」として掲げてみるドイツ人の理屈っぽさが、 後世の日本人にも役立っているわけですね。(笑)
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