NHKスペシャルはこの月曜火曜と東京裁判がテーマです。
月曜日はA級戦犯のリストアップと事情聴取そして判決までの概要紹介でした。
番組では南京事件当時の外相H氏の言動を中心に取り上げていましたが、編集意図は、H氏の「戦争犯罪」に関する連合国側評価が十分な検証を経ていなかったのではないかという問題提起であるように思えます。
たしかに軍部の独走を許した責任はあるでしょうけれど、H氏を軍部の積極的追従者と認定した東京裁判の結論には違和感を覚えます。統帥権は内閣から独立していたわけですから、シビリアンコントロールが機能しなかったのではなく、シビリアンコントロールの枠組みそのものがなかったわけです。当時の外相に南京事件の責任を問うことは論理的に難しいという印象を受けました。当時の体制下にあって文民であったH氏の戦争犯罪を問うことには慎重であるべきだというオランダ代表判事の見解が日本の国内事情を鑑みたより妥当な判断ではないかという気がします。
東京裁判が戦勝国の論理で運ばれたのは事実なのでしょう。正しいと言えない面もあるかも知れません。しかし、日本は敗戦国として東京裁判を受け入れただけで、自国による戦犯究明を公的に行っていません。戦争責任の総括をしていないという問題があるわけです。
誰がどう見ても罪を免れないであろう戦犯を明らかにし、「詰め腹を切らされた」だけの戦犯の名誉回復をするということはできなかったのでしょうか。
東京裁判被告全員無罪を主張したインド代表判事の見解が明日放送されるようで、興味深いところです。ただ、僕自身はこの戦争についての史料をほとんど持ち合わせないわけで、何が真実かを見極めらられないのが残念です。
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