日経新聞(2004年12月3日 大阪本社版夕刊社会面)によれば、 教育現場での著作権に関する意識の低さが問題になっているようです。
僕自身、授業で新聞や書籍のコピーを配布したりすることがあるのですが、これは著作権法上の「例外」として認められているだけで、 通常は許されないことなのです。教育現場が「例外」であることを知っている教師が10パーセント程度しかいない(記事参照)現状では、 子どもたちが著作権に関する意識を高めることは難しいと思われます。
今年のNHK紅白歌合戦の出場歌手が決まったばかりですが、若手の女性歌手が「盗作」 問題で出場を辞退することになったと報じられています。 彼女は以前から書籍や歌詞の中の気に入った言葉をノートに書き留めていたらしいのですが、 自分のノートに書いてあった他人の言葉をそのまま自著に掲載してしまったということのようです。 他人の著作物を使って自分の本を出してしまったのですから明らかに盗作なのですが、 彼女は指摘されるまでそれが盗作であるという意識を持っていなかったのではないかと僕は想像しています。 十分な指導を受けて来なかったことがこうした事態を招いたと考えれば、彼女ばかりを責めることはできないでしょう。我が国の社会全体が、 著作権とかオリジナリティに関する高い意識を持つ必要があると思われます。
「著作物」とか「著作権」という概念を子どもが意識する機会はほとんどありません。 それが日常になるのは学部の卒業論文に取り組みはじめてからなのではないでしょうか。短大までの学校ではその指導の機会が非常に限られます。 多くの子どもは著作権に関する指導を受けることなく社会に出てしまうことになります。 現状のままでは著作権侵害ケースは間違いなく拡大するでしょう。 今では小学生でもネット上で自らの文章を公にすることができる環境になっていますから、 著作権に関する意識を高める指導を小学校段階から始めなければならないということになりますね。
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